ササハタハツでは2017年より渋谷区まちづくり課主催の
「ササハタハツまちづくりフューチャーセッション」
が進められています。
ササハタハツ(笹塚・幡ヶ谷・初台)地区のまちづくりを
行政とも協力しながら住民主体で考えていくものです。
2019年度は、まちづくりのアイデア・プロジェクトを支える
活動基盤になる「(仮称)ササハタハツまちラボ」の
立ち上げに向けてセッションを進めていくことに!
2019年8月30日(金)、渋谷区役所内のスペース428で
2019年度第1回となる
「ササハタハツ(仮称)まちラボフューチャーセッション」が
開催されました。
イントロダクション
セッションの最初に、まちづくり課・齋藤課長より、2017年度と2018年度に開催された「ササハタハツまちづくりフューチャーセッション」の振り返りがありました。
ササハタハツ(笹塚・幡ヶ谷・初台)のまちの可能性を広げるための取り組みであったこと、緑道の初台地区ではプロジェクトの実証実験として二度にわたって「初台緑道マルシェ」が開催されたことが紹介されました。
2年かけてセッションを重ね、プロジェクトを進めようとする中で、見えてきた課題もありました。
住民主体のセッションだったこともあり「企業」や「町会・商店街」など、プロジェクトを共に動かしてくれるノウハウを持った団体との連携が弱かったことはひとつの課題です。
そして、ここで宣言されたのが…
今年度の取組みとして
(仮称)ササハタハツまちラボ
を⽴ち上げます。
ということです。
「ササハタハツまちラボ」はさまざまな人たちが関わって作られるササハタハツまちづくりの「共創プラットフォーム」です。
なかなか自分たちだけの力では立ち上げや継続が難しかったササハタハツ民の方々のアイデアを実現に導き、持続的に支える「活動基盤」でもあります。
そして「まちラボの目的」として掲げられたのが下記の3つ。
「地域コミュニティの活性化」も住民・企業・行政が協力しあうこと、「地域ブランディングの向上」にも企業と商店街の密接な関係が欠かせません。そうして「街の居場所」が作られることで、シティプライドが醸成されていくと考えられます。
さらに「目的を達成するための活動イメージ」として3つのキーワードが挙げられました。
<交流と創造>
⇒地域コミュニティの活性化で地域課題解決と新たなサービスを⽣み出す
・先進的な市⺠活動事例の勉強
・事業⽴ち上げ相談窓⼝
・交流、議論の場づくり
<プロジェクト支援>
⇒新たなサービスに付加価値をつけ、持続可能な活動へ
・立ち上がった事業の企業・専門家マッチング
・事業のビジネスモデルの構築
・行政協議支援
<情報発信>
⇒活動の可視化と成果検証の発信
・Web、SNS等による活動の募集
・公共媒体(区ニュース、町会掲⽰板等)の活用
・事業成果、検証結果の可視化
<交流と創造>の事例を紹介するためにセミナーの実施も検討。<プロジェクト支援>では企業・住民・行政をマッチングして、ビジネスモデルを構築。<情報発信>ではすでにある媒体だけでなく、新たに地域メディア「ササハタハツ新聞」を立ち上げて活用していきます。
また、今年度の流れについても説明されました。
パネルトーク(1)〜ササハタハツのビジョン〜
今年度のセッションの流れを頭に入れたところで、「ササハタハツ」に関わる方たちによるパネルトークが。
最初のパネルトークには、初台町会会長の山崎徹さん、十号通り商店街振興組合の理事長であり渋谷区商店会連合会 幡ヶ谷・笹塚ブロック長の秋元浩さん、渋谷区より長谷部区長が登壇。それぞれの「ササハタハツへの思い」を語りました。
長谷部区長からはニューヨーク市のまちづくりの事例として、タイムズ・スクエアの広場の運営にタイムズ・スクエア・アライアンスという公民連携の組織が携わっていることを紹介。
また、市民のアイデアにより廃線跡がアートも楽しめる公共の場に変わったハイラインがササハタハツの玉川上水旧水路緑道とリンクしているとも述べ、「道が整備できて終わりではない。できたものを回していく必要がある。それを中心になってやるのがまちラボの仕事」と話しました。
商店街や住宅街が広がるササハタハツでは地域コミュニティの温かさがありながら、最先端のテクノロジーを活用する「最先端の田舎暮らし」が可能になるというビジョンをあげました。
初台町会の山崎さんは「ササハタハツまちづくりフューチャーセッション」が立ち上がってから、その流れに追いつこうと初台をよい町にしていくために奔走してきたと言います。これまでの取り組みに対して「こういった新しい地域の文化を創造するセッションは素晴らしい」と感じているそうで、「自分が新たなアイデアを出すのは難しいが、セッションから出た若い人のアイデアを地域で実現するための黒子役なら」と応援を続けています。「町会長も商店会長も自分が抱えている仕事で忙しいが、大局的な見方をして、それぞれができることを考えていく必要がある」との思いがあるそうです。
笹塚で生まれ育った秋元さんは「これまで区内でも注目が薄かったササハタハツが盛り上がることがうれしいです」と。今後も笹塚で商売を続けていくためにも「この地域の価値を高めたい」と考えています。「水道道路で地域のお店も参加するマルシェを開催すれば、近所の人どうしが顔見知りになり、有事のときも声をかけあえる」とのアイデアも話してくださいました。やはり「それぞれの地域で活動している町会や商店会の方々が集まって話せる機会が必要」という思いがあるそうです。
パネルトーク(2)〜新しいコミュニティ形成への挑戦〜
続いてのパネルトークには、過去2年間セッションに参加するとともに、ササハタハツエリアでプロジェクトを動かしてきた「初台ハーベストコミュニティパーク」の古川はる香さん、帝京短期大学地域貢献推進室の森下利典さん、京王電鉄 戦略推進本部 事業創造部 戦略担当 課⻑の吉田智之さん。そしてプロジェクトの実施を支える行政側としてまちづくり課の齋藤勇課長が登壇。これまで行ってきた取り組みを紹介していただきました。
古川さんが行っている「初台ハーベストコミュニティパーク」は地域の中に「みんなで一緒に育てる」菜園を作り、植物・作物の栽培を通じて地域コミュニティを活性化していくことを目標に活動するプロジェクトです。
この2年間、自主イベント開催のほか、初台町会主催の「おとなりサンデー」への参加、ほかのプロジェクトともに「初台緑道マルシェ」の開催などを通じて「地域に知り合いがたくさん増えた」のを実感しているそうです。「地域でコミュニティが広がる幸せな感覚をより多くの人に広めていき、地域活動を行うプレーヤーがササハタハツのあちこちに増えてくれたら」と話しました。
森下さんは「水道道路にわにわフラワー大作戦」と題して、街に花を増やす活動を行ってきました。六号坂で続けてきたハンギングバスケットの活動を水道道路にも広げることを目標にしています。
初台ハーベストコミュニティパークの活動を参考に公園に自主管理花壇を借りるなど、セッションを通じたつながりがプラスに働いているそうです。「2年間のセッションを経て、点と点で行ってきた活動が線になっているのを感じます」と話しました。「閉じた組織にならず、固まりすぎず、やりたい人がふらりと参加できるような、ファジーな雰囲気が続けていくために大切なのかと」
吉田さんが勤める京王電鉄はササハタハツをつなぐ重要な交通機関です。「ササハタハツまちづくりフューチャーセッション」や「渋谷をつなげる30人」を通じて、地域の方々から出てきたアイデアの協力や実現のサポートを行ってきました。
特に「『未来の渋谷の運動会』を通じて、さまざまな企業や地域の方と1:1ではない1:nの関係が広がったのは今まで経験したことがありませんでした」ということです。引き続き「地域全体が盛り上がるような取り組みを鉄道会社として支えていければ」と話してくれました。
まちづくり課齋藤課長は、2年間のセッションを通じて緑道や水道道路といった物理的なつながりを題材として、人と人がつながった2年間だったと振り返りました。
また、行政としてササハタハツ内にある活動のリソースを紹介。
◆商店街でも、オープンカフェを行ったり、モビリティの実験を行ったり、にぎわい創出の可能性を広げることができる。
◆都が所有する「幡ヶ谷原町アパート跡地」や笹塚駅前にオープンしたホテル地下にある「笹塚アキチ」もイベント開催などができそう。
◆現在進行している中野通りと水道道路の交差点にあるトイレのリニューアルもリソースとして活用が可能なのではないか。
「企業がまちづくりに参加すると言うと、金銭的な負担を感じて尻込みしてしまうことも多いと思う。決してそれだけではない企業と住民とがフラットにつながれる環境整備をまちラボとして進めていきたい」と「まちラボ」への思いを語りました。
テーブルセッション
後半はテーブルセッションを行いました。「ササハタハツ×●●」というテーマが6つ用意され、参加者は興味・関心のあるテーマを話し合うテーブルを自由に行き来しながらセッションを繰り広げていきました。
最後に各テーブルで話された内容の発表も。
商店街☓ササハタハツ
〜ササハタハツの商店街の回遊性を⾼めるには︖〜
◆自転車を使えばかなり広い距離を移動できる。シェアサイクルのステーションを増やすなど、自転車での移動をしやすくする。
◆若い人も住みやすいエリアだが、世代間の隔絶がある。新旧住民がまじり合うようなコミュニティがあれば。例えば「若者向けのスナックを開く」「まかない弁当を販売して昔ながらのおすそわけ文化を復活させる」など。
◆人と人がつながりやすくなれば、人の行き来が増え、自然と回遊性も高まる。まちラボに「人をつなぐ」機能を期待したい。
まちラボ運営☓ササハタハツ
〜⾃分がまちラボを運営するとした らどんなサービスを提供する︖〜
◆「まちラボ」の最大の役割は企業や個人が行おうとしている取り組み・サービスをファシリテートすること。その判断軸となるような「基本構想」が必要。
◆まちラボの目的にキーワードとして出てきた「地域コミュニティ」「地域ブランディング」「シティプライド」はすでにササハタハツにはあると感じる。今あるものをさらに伸ばせるような基本構想が必要。
◆基本構想に基づいて、さまざまな取り組みを支援する体制が構築できれば、それらを後押しすることがまちラボのサービスとして成り立っていく。
コミュニティ活動☓ササハタハツ
〜ササハタハツがもっとつながるコ ミュニティ活動とは︖〜
◆コミュニティ活動に興味はあるが参加しづらい人がいる。特に単身独居の世帯がつながる第一歩が難しい。町会加入も現状全世帯の3~4割程度。町会どうしもバラバラに活動している。
この課題を解決するには…
◆町会どうしがつながる第一歩が難しい。まちづくり課・まちラボ主導にきっかけづくりをお願いしたい。
◆共通するイベントを行ってはどうか?
・ササハタハツ町会で共催する地区対抗イベントなど
・ササハタハツエリアのお祭りを同時開催する
・ササハタハツの記念日を設定する
・単身の方が参加できるような男性向けの料理教室開催
◆学生に参加してもらえるような取り組みも必要。
企業のビジネス☓ササハタハツ
〜ササハタハツに潜んでいる ビジネスチャンスとは︖〜
◆「渋谷区」に住むのは家賃面などでハードルが高いと感じる人が多いので、1泊2日程度でササハタハツで「渋谷移住体験」を行う。
・ボランティアやアート体験
・地元の人しか知らないコーヒーの名店、新店を巡るツアー
・ササハタハツを舞台にしたナゾトキも?
◆魅力を感じて住んでくれる人が増えたら、ササハタハツで「福祉の最先端」を実現する
・海外事例を参考に、障害のある人も働ける街に
◆「住みたい街ランキング」で同じ渋谷区である恵比寿を超えることが目標!
市⺠ガーデン☓ササハタハツ
〜市⺠ガーデンをササハタハツ に拡げていくためには︖〜
&
マルシェ☓ササハタハツ
〜マルシェをササハタハツに 拡げていくためには︖〜
2つのテーマを同時に話し合いました。
<マルシェ>
◆「イベント1日だけで終わらない」「日常につながる」しくみが必要。
・マルシェのために取り寄せた食材が余ったら、商店街の店舗で販売
・渋谷区以外で収穫された農作物だけでなく、ササハタハツ地区の店舗にも出店してもらい、居住エリア以外にあるお店を知ってもらう。
・初台以外にもササハタハツエリア内で10カ所程度巡回して開催していく。開催者の負担も軽減できるし、知見も共有できる。
<市民ガーデン>
◆より多くの人に栽培に参加してもらえるようにしていきたい
・近隣小学校の放課後クラブに「園芸部」を作って一緒に活動する。
・近隣企業の方々に「朝活」として水やりに参加してもらう→出会いにつなげるなど、参加する方々にもメリットがあるような場に。
・水やりがしやすいように、緑道再整備で水道の整備をしてもらいたい!
おわりに
最後にパネルトークに登壇した方々が再度登壇。初台町会会長の山崎さんは「今までそれぞれの地域で活動してきた人たちが一体的になる活動もして、ササハタハツのアイデンティティを見つけていくことが大切」と述べ、帝京短期大学の森下さんは「セッションを通じて知り合いが増えることで、それぞれの地区での活動は点から線に、線から面に、面からエリアに広がっていけば」、京王電鉄の吉田さんは「これから立ち上がる『まちラボ』が、ずっと続いていく仕組みになれば」とそれぞれの期待を語りました。
また、澤田伸副区長からは「まちづくりは建物や道路を整備して終わりではない。本来であればササハタハツ内で何かをやりたい区民の方がワンストップで対話ができるような『ササハタハツ事業部』があるべき。一度には無理だが、組織再編成の中でその視点を入れていきたい」と話してくれました。
来場者アンケート結果
セッション終了後、来場者にアンケートを実施しました。
多くの人から「(仮称)まちラボ」への理解、関心が高まったとの回答が。
「ササハタハツ(仮称)まちラボフューチャーセッション」、
次回は10月18日(金)18:00~20:30に笹塚駅前区民施設での開催が予定されています。
興味を持たれた方はぜひ参加してみてください。