「思い」のリレーで初台緑道が変わる!【初台ハーベストコミュニティパーク】進行中

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初台緑道=初台の玉川上水旧水路緑道がここ最近変わってきたこと、
皆さんお気付きですか?
6月に開催された「渋谷おとなりサンデー」では、
ミニコンサートやBBQなどの催しが。
昨年11月と3月の「初台緑道マルシェ」では、
野菜の販売やみちあそびが行われ、大人から子どもまで楽しめました。
そして日々通勤、通学で初台緑道を歩いている方々は、
足元の植え込みに花壇が作られ、
可愛い花たちが咲いているのにもきっと目をとめているはず。
静かだった緑道が、いろいろな人の思いと繋がりで
心地の良い素敵な空間へ変わろうとしています。(只今実験中!)

1906春の苗配布2_resize

ササハタハツ新聞は、その仕掛け人のひとりである
「初台ハーベストコミュニティパーク(以下初台HCP)」代表の
古川はる香さん(以下はる香さん)と代表をサポートする心強いメンバーであり、
代々木公園向かいの「渋谷はるのおがわプレーパーク」(※1)
創設メンバーでもある小水映(こみず・うつる)さん(以下うーちゃん)
にお話を伺いました。

古川はる香さん(写真左)と小水映さん(写真右)

古川はる香さん(写真左)と小水映さん(写真右)

初台ハーベストコミュニティパーク これまでの活動

2018年4月 キックオフ

2018年6月3日 初台緑道での「渋谷おとなりサンデー」に参加。「種の交換会」開催

2018年8月 初台緑道で自主管理花壇の運営を開始

2018年11月23日 第1回「初台緑道マルシェ」に参加。「苗植え体験」と「種だんごづくり」開催

2019年3月2日 第2回「初台緑道マルシェ」に参加。「花の里親になろうワークショップ」開催

2019年5月29日 「花の里親になろうワークショップ」で育ててもらった花の苗を自主管理花壇に植え替えるイベントを開催

2019年6月2日 初台緑道での「渋谷おとなりサンデー」に参加。「花を眺めて持ち寄りごはん会」を開催

「宝のような緑道」にハーベストコミュニティパークができるまで

ササハタハツ新聞
「花の里親になろうワークショップ」は私も娘と参加して、実際に植えた種を家に持ち帰り、ドキドキしながら発芽まで水をあげました。
ひょろっと伸びた苗を無事に花壇に戻してあげられて嬉しかったです。みんなで土いじりした時間やそのあと緑道で娘がみんなに見守られながら遊んだり思いっきり走ったりした時間がキラキラしていました。
まず、初台HCPはいつ頃どのようにして誕生したのでしょうか?

はる香さん
2017年、ササハタハツエリアの新たな街づくりについて住民主体でアイデアを出し合う「ササハタハツまちづくりフューチャーセッション」(※2)が立ち上がりました。セッションを重ねる中で、植物を通じて人の輪をつなげていく「ハーベストストリーム」というアイデアを出した方がいたんです。私は当初別のアイデアのグループにいたのですが、そのアイデアも手段が違うだけで「新たな取り組みで人の輪を広げよう」という目的は同じだったんです。植物を軸にコミュニティを広げるのも素敵だなと思い、「ハーベストストリーム」と合体させて、2018年2月のセッションで「ハーベストコミュニティパーク」と名づけてプロジェクトをスタートさせました。

ササハタハツ新聞
ちなみにもともとのアイデアはどんなものだったんですか?

はる香さん
「自発的テーマパーク」というプロジェクト名で、「みんなが得意なことを出し合って、いろんな楽しみ方ができるテーマパークみたいな緑道にしよう」というものでした。パフォーマンス、お茶会、スポーツ、フリマなどが、自発的に緑道のあちこちで起こっていたら楽しいなと。そこで、自発的に人が集まる仕掛けとして花や食べることができる植物をみんなで育てるのがいいんじゃないかと思ったんです。

ササハタハツ新聞
まさにササハタハツ新聞Facebookページのタイトル画像みたいな感じですね!
(こちらをご覧ください→https://www.facebook.com/shhfan/
あっという間に「ササハタㇵツ」プロジェクトの緑道ブロックをリードするグループの代表になり生活が変わったわけですが、そもそもセッションに参加されたきっかけは?

はる香さん
以前から女性向けや育児関連の媒体を中心にライターの仕事をしていましたが、子どもが生まれてから地域に根差した仕事がしたいという思いが強くなり、きっかけを探していました。渋谷papamamaマルシェ(※3)には関わっていましたが、それとは別に自分のアプローチで何かできたらな、と。
地域で発信したり仲間を集めたりする場はないかなと思っていたところ「ササハタハツ」のプロジェクトが立ち上がると聞いて参加したんです。

ササハタハツ新聞
そうなるべくして導かれたんですね。
お隣にいらっしゃる最強に心強い大先輩、小水さんの緑道への思いはいかがですか?

うーちゃん
夫の店が緑道沿いにありまして、外が見えるようにとガラス張りにしてるんです。
でも、緑道はデザインも何もかもがとても「古い」!(笑)
「ツツジの植え込みはやめて畑にしたらいいのに」とか「甲州街道沿いだから音がうるさくて苦情が来ないのかな?」とか「この公衆トイレはどうなんだろう?」とかいろんなことを思っていて。でも、それもすべて含めてずーっと続いてる緑道公園が「宝」のように思えてたんです。
だからこそ、お昼時は人があふれかえる初台なので、ランチ難民になった方たちが気持ちよく食事ができるテーブルやイスが緑道にあったら…とか、初台の飲食店の方たちがお店で使うハーブや花を自由に収穫できるような畑が緑道にあったら…と、緑道に関するアイデアも頭の中にありました。

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そう思いながら暮らしてたところに、住民がまちづくりを考える「ササハタハツ」が立ち上がっているのを知って、途中からですが参加しました。みなさんのアイデアがおもしろくて、セッションに行くたびに可能性を感じました。そんな中で、海外での都市農業の事例を発表して、アイデアを出してくださった方がいて、「だよね~!!」と共感したんです。「ツツジを引っこ抜いて大根を育てたい」なんて思ってたことが実現できるかもしれないなと

 

 

少しでも「街が変わった」と思えたら、シティプライドが生まれる

ササハタハツ新聞
その事例発表があったセッション参加してました! とても興味深くてワクワクしたのを覚えています。私はその後、参加できずにいたんですが、あのときのワクワクがずっと繋がって、こうして実現していっているんですね。

うーちゃん
ただ、アイデアを出された方たちは継続してセッションには参加されなかったんです。そんな中でまとめ役としてチームを作ってくれたのがここにいるはる香さんで。

はる香さん
うーちゃんが言ったんですよ!「リーダーやってね、よろしく~!」って(笑)。住民主体でプロジェクトを起こす大先輩というか、先駆者のような方から言われたらやらないわけにいかない!

うーちゃんのトレードマークは笑顔! まわりもつられて笑顔になってしまいます

うーちゃんのトレードマークは笑顔! まわりもつられて笑顔になってしまいます

うーちゃん
そうそう。私たちが居場所づくりやプレーパークづくりをしようとした時は、いばらの道だったけど、今は割とやれそうな気運でしょ。いろんな芽が出てくるのを感じると応援したくなっちゃうの!(笑)渋谷papamamaマルシェもそうだし、フカマルシェ(※4)も。
子どもを育てながら渋谷の街づくりを考えていく世代が、いろんな活動をする中で少しでも「何かが変わった」という実感を持てることは、区長が言う「シティプライド」につながるんじゃないかと思うんです。

 

15年前、はるプレが誕生したときの雰囲気が今の子育て世代にはある

ササハタハツ新聞
うーちゃんさんは15年前、今では外遊び大好きな子どもたちの聖地になっている「渋谷はるのおがわプレーパーク(通称はるプレ)」を立ち上げられたんですよね。当時が大変だったからこそ、今の子育て世代の活動を応援したいという思いが強いんですね。

うーちゃん
「はるプレ」は自分たちで「ラッキーはるプレ」って言ってるんです(笑)。そもそも現区長の長谷部さんとうちの息子が同級生という経緯があったんですが、長谷部さんが区議一年目のときに、私たちが西原のスポーツセンター脇の空き地でちまちまと有志一同でやってた「冒険遊び場」(現在も「せせらぎ冒険遊び場」として継続中。※5)を見に来てくれて「どうしてこれを地域のお母さんだけでやってるの? これは区の事業でやるべきだよ」と言ってくれて、当時の桑原区長に紹介してくれたり、区の関連部署の方とつないでくれたりしたんです。そうしたらある日、プレーパークを区の事業としてやってみないかというお話をいただいて。ほかの自治体では、さんざんプレーパークをやりたいと運動をしてもダメなことも多いんですよ。それがたいして汗をかかないでできちゃった(笑)。だから「ラッキーはるプレ」。

ササハタハツ新聞
いくら「ラッキー」と言っても、有志一同でやっていたものからあれだけのプレーパークを作り上げたのは、やはりうーちゃんさんがいらしたからだと思うのですが……。

うーちゃん
いやいやいや! 少数民族であれ、やっぱり室内にだけ居たら死んじゃいそうになる母親って人たちがいるんですよ。そんな「子どもと一緒に外で遊びたい」って感覚を持っているお母さんが集まってきて、1人では無理だけれど、2、3人いたらとりあえず始められるなと。そんな感じで始めたんです。

ササハタハツ新聞
無理なくやればできるってことですね。このうーちゃんさんのお話聞いたら、「自分にもできるかも!」と思う方がほかにも出てくるかもしれない。

うーちゃん
そうそう。できるんですよ。
今までは行政に対して、住民は物申すで、行政はやった後に説明やお詫びをする。そんな感じの関係だった気がするんです。でもこの「ササハタハツ」は門を開いてくれた。住民と行政で一緒に考えようと言ってくれた。それがものすごく新しいというか進歩というか。

初台ハーベストコミュニティパークの活動風景。大人も子どもも一緒に雑草抜き。

初台ハーベストコミュニティパークの活動風景。大人も子どもも一緒に雑草抜き。

ササハタハツ新聞
今後はどんなことをされたいですか。

はる香さん
もうちょっとネットワークを広げられたら。まず、私たちが利用している「自主管理花壇」(※6)という制度を広く知ってもらえるといいのかな。決して特別なことをしてるわけではなく、区民中心に必要な人数が集まれば区の公園の花壇を借りられて、年に2回花の苗や土も配布してもらえるんです。「なんだそんな簡単にできるんだ」と思って、いろんな人たちが始めたら緑道にも花壇が増えるだろうし。あと、水やりだけはやや困難なので、緑道のあちこちに水やり用の水栓ができたら、ハードルが下がってやりたい人が現れるかもしれない。

うーちゃん
土づくりや植物についてのお勉強もしたいよね。「自主管理花壇」の制度の中で講師派遣のしくみがあったらいい。普通に生活してると「生物多様性」や「循環」って言葉もピンと来ないけど、「あらゆるものは巡り巡って手元にくる」ってことを子どもたちにも伝わるように平たく話してもらうのを聞きながら、土づくりをしたり、苗を植えたりできるといいなと思います。

子どもにとっては花壇の水やりも遊びのひとつ!?

子どもにとっては花壇の水やりも遊びのひとつ⁉

 

「まちラボ」が住民の思いを傾聴してくれる「まちの相談所」になって欲しい

ササハタハツ新聞
今年度「まちラボ」が立ち上がる予定ですが、期待することをお聞かせください。

うーちゃん
ぜひ区のやっていることをわかりやすく呼びかけてもらいたい。「ササハタハツ」も、「名前くらいは知ってるけど実際に足を運んでみようという気にならない」という人がまわりに結構いたんです。それはもったいない! もっと興味を持ってもらえるようなしかけがあるといいよね。

はる香さん
プロジェクトを動かす中で、「これってどこに相談すればいの?」と悩んだとき、関係部署につないでもらえたらうれしいです。さっき「ネットワークを広げたい」と話しましたが、初台HCPとして小学校や保育園の子どもたちと一緒に植物を育てられるといいなと思っていて。でも、いきなり保育園や学校に突撃するわけにもいかないし、誰に話したらいいのかなと。

うーちゃん
そう。そうやって思いついた時に親身になって相談に乗ってくる場所になってくれるといいよね。今の区役所のカウンターってすごいバリアに見えちゃうんです。もっとバリアを低くして、ひざを突き合わせて話せるようなあったかい雰囲気がいい。結果的に実現しなくも「相談に乗ってもらえた」「聞いてもらえた」ってことがものすごく大事だと思うので。

終始笑いながらお話してくれたお二人。
どこまでもどこまでも聞いていたい
そのキラキラした思いに、私の思いも重なり、
これからどんなことが起こるのか、
できるようになるのかとワクワク。
温かな気持ちになった取材の時間でした。
うーちゃんさんからはる香さんたち現役子育て世代に
繋がった「街を変えたい」という思いのリレー。
私も子育て世代のひとりとして、
自分ができる形で繋いでいければと思いました。

初台ハーベストコミュニティパークの花壇で花を咲かせた代官山の「ひまわりガーデン」から種をもらったひまわり。

初台ハーベストコミュニティパークの花壇で花を咲かせた代官山の「ひまわりガーデン」から種をもらったひまわり。

※1区立はるのおがわコミュニティパーク内にあるプレーパーク。「自分の責任で自由に遊ぶ」ことができる場で、工夫しながら遊具を作ったり、泥だらけになったりしながら力いっぱい遊ぶ子どもであふれている。
http://harupure.net/

※2ササハタハツのまちづくりを長期的な視点でまちの活性化とコミュニティ形成につなげ、新たなサービスや事業の創造を目指すための検討会
https://www.city.shibuya.tokyo.jp/kankyo/machi/sasahata/index.html

※3 年に一度開催される0~3歳の子どもを持つ渋谷区在住・在勤の家庭向けイベント。小水さんも実行委員として参加している。
https://shibuyapapamamamarche.localinfo.jp/

※4 代々木深町小公園で開催される「まちと大地をつなぐ市」。産地直送の野菜や原材料にこだわった商品を扱う近隣店舗が集まり、「まち」と「まちの人」と「大地」のつながりが「深まる」場に。
https://fukamarche.localinfo.jp/

※5 渋谷区西原にある渋谷スポーツセンター北側の子ども広場で毎週日曜と春夏冬に各3日間開催。木が多く適度な傾斜のついた空間で、自分たちで遊具や遊びを作り出して過ごしことができる。
http://bouken-asobiba.org/play/asobiba-23.html

※6 渋谷区の緑と水・公園課による制度で、
(1) 町会、自治会等の地域団体
(2) シニアクラブ等の公益活動団体
(3) 10人以上の区民等で構成される団体
(4) 前3号に掲げる団体のほか、区長が適当と認める団体
いずれかに該当する団体で、継続的に自主管理花壇の管理ができる営利を目的としない団体であれば、団体登録を行うことで区内の公園内の花壇で花を育てることができる。
https://shibuya-faq.dga.jp/faq_detail.html?id=9236&category=289&page=1

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