ササハタハツ(仮称)まちラボフューチャーセッションから生まれた新しいリレーションシップ ~ノウハウの共有から広がるよりよいまちづくり~

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今年度の「ササハタハツ(仮称)まちラボフューチャーセッション」
(以下、セッション)で立ち上がった
「道路活用検討プロジェクト」は
普段は車が通行する道路を活用して
人と人がつながる新たな場を創出することを目指しています。
このプロジェクトでタッグを組んでいるのが
以前「ササハタハツ新聞」でも取材させていただいた
初台町会会長の山﨑徹さん(※1)と十号通り商店街理事長の秋元浩さん(※2)
お二人が共同でプロジェクトを進めることになった流れや、
現在のプロジェクトの状況をおうかがいしてみました。

ササハタハツのセッションを通じてエリアと組織の違う2人がつながった!

ササハタハツ新聞
初台の町会長と笹塚の商店会理事長という、異なるエリアと組織で「まち」に関わって来られたお二人が手を組まれているというのは、実はとてもすごいことだと思います。お二人が一緒に活動されるようになったいきさつを教えてください。

十号通り商店街理事長 秋元浩さん

十号通り商店街理事長 秋元浩さん

秋元さん
実は山﨑さんとはこれまで接点がなく、きちんとお話したのは、昨年8月に行われた2019年度「第1回ササハタハツ(仮称)まちラボフューチャーセッション」のパネルトーク(※レポートはこちら)でご一緒したのが最初だったんです。

初台町会会長 山﨑徹さんパターン5

初台町会会長 山﨑徹さん

山﨑さん
そうなんです。今回のセッションで町会や商店会といった組織を超えて街づくりに興味のある人たちが集まるようになったことで、接点ができました。これまでも地域の防犯に関する集会などでお見掛けすることはありましたが、お話しするまでには至っていなかったんですよね。

秋元さん
面識はあってもきっかけがないと話す機会がないですよね。私たちが話すきっかけを作ってくれたという意味では、今年度のセッションは成功ですよ(笑)。

ササハタハツ新聞
2019年度「第3回セッション」での企画づくりワークショップ(※レポートはこちら)で道路活用という目的が一致して、同じプロジェクトで活動するようになったんですよね。
その「道路活用検討プロジェクト」の活動についてですが、これまで2年にわたって実施してきた初台での『渋谷おとなりサンデー』を、初台大通り(初台商盛会がある通り)までエリアを拡大して、オープンカフェをはじめとするさまざまなイベントを開催したいという内容でしたね。
現在の活動状況を教えてください。

昨年の初台での「渋谷おとなりサンデー」の様子

昨年の初台での「渋谷おとなりサンデー」の様子

山﨑さん
2月29日に道路の活用イメージを深めるため、プロジェクトメンバーやプロジェクトに興味を持つ方とまち歩きイベントを行う予定でしたが、昨今の状況を考慮して中止にしました。今後は、6月の「渋谷おとなりサンデー」に参加してもらう団体で構成する「渋谷おとなりサンデー初台地区実行委員会」を開催したり、経費の試算や備品の準備をしたりする予定です。関係各所への許可は早めに取りたいと考えています。初台大通りの商店街にご理解いただく努力も続けなければなりません。

ササハタハツ新聞
やることが盛りだくさんですね!

秋元さん
備品といえば、この前ご紹介したリース会社いかがでしたか?

山崎さん
ああ、ありがとうございました。連絡して見積もりをお願いしようと思ってます。

秋元さん
備品の準備が必要だとうかがったので、十号通り商店街のイベントでいつもお願いしてるリース会社をご紹介したんですよ。十号通り商店街でもイベントを行うことが多いので、その時に得た知見やお世話になった業者さんの情報などは共有していきたいと思っています。

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ササハタハツ新聞
お二人がつながったことでノウハウを共有できたというのは素晴らしいですね!
このつながりができたことで、山﨑さんは笹塚の、秋元さんは初台の、それぞれイメージが変わったところはありますか?

秋元さん
僕は初台と言えば「駅が地下にある」というイメージです。僕が子どもの頃は、京王線の幡ヶ谷駅はまだ地上にあって、幡ヶ谷駅を出た後、線路が地下に潜っていたんですよ。最近だと朝、緑道をウォーキングして初台のほうまで行くと「ここにも川が流れてたんだなあ」と思いを馳せることも。

山﨑さん
私はこれまであまり笹塚のほうには来たことがなかったんですよ。でも、このプロジェクトを通じてよく十号通り商店街まで足を運ぶようになってみて、商店街に活気を感じています。緑道も笹塚のあたりは開渠(かいきょ)になっているのがいいよね。

秋元さん
開渠部分はかなり貴重なものみたいですね。江戸時代からあの様子が変わっていないとも聞きます。地主さんに昔の地図を見せてもらうと、このあたりは豊玉郡代々幡村幡ヶ谷町字笹塚という住所で。……まあ村の一番端っこだったんですよ。

山﨑さん
初台も代々幡村では端のほうだからね(笑)。幡代小学校の前の緑道のあたりは代々幡村の官庁街だったとも聞いてるけど。

ササハタハツ新聞
端のほうに位置していた地域が時を経てそれぞれに発展していき、今こうして力を合わせて新しいまちづくりをしていくということなんですね! 今後の展開も楽しみです!

電柱地中化にスタンドパイプの設置…組織を超えた情報交換で街が変わる⁉

ササハタハツ新聞
そのほかにも、セッション参加やこのプロジェクトの活動を通してよかったと感じられたことはありますか?

秋元さん
やっぱりこういったつながりが持てたことが、何よりもよかったことだと思っています。

山﨑さん
秋元さんとも連携しながらイベントを開催することは、最終的に地域に活気をもたらすと考えています。今回私が初台大通りでオープンカフェを開催することを提案したのには、「初台まちづくり協議会」の活動から出てきた意見も影響しているんです。

ササハタハツ新聞
「初台まちづくり協議会」は以前もササハタハツ新聞でも取材させていただきました。(※1)工事協定書部会、電線地中化部会、緑道部会の3つの部会があり、建築や工事を伴うようなハード面におけるまちづくりに働きかける会でしたね。

山﨑さん
そうです。その中の電線地中化部会が行政と話を進めていく中で、電線を地中化した後の道路をどのように活用するかについても考える必要が出てきたんです。そこでも歩行者天国やオープンカフェを行うのがいいのではという意見が出ていた背景もあって、プロジェクトとして提案したという側面もあります。

秋元さん
初台のほうでも電線の地中化の動きがあるんですね。実は私たちの商店街でも電線を地中化したいという話は出ているんです。商店街の街路灯がとても古くなっていて、リニューアルするタイミングで地中化できないかと検討を続けています。

山﨑さん
そうでしたか。初台まちづくり協議会でもすでに地中化している商店街を見学に行ったり、自治体の方に「どういういきさつで地中化が実現したのか」とヒアリングに行ったりしていますよ。

秋元さん
僕たちも見学やヒアリング行ってますよ! 地中化が実現すれば景観がよくなりますよね。

山﨑さん
そうですよね。災害の際に電柱が倒れて建物が損壊したり、車両の通行を妨害したりすることがなくなり、安全性の向上も期待できますよね。

秋元さん
防災といえば、初台ではスタンドパイプ(※3)はどこに置かれていますか?

山﨑さん
町会の防災倉庫の中ですね。公園なんかに設置して誰でも使えるようにしている地域もあるそうですが。秋元さんのところは?

秋元さん
うちは商店街に設置してるんですよ。

ササハタハツ新聞
前に秋元さんに取材させていただいたときに教えていただきましたね。自分たちで消火活動ができるようにしているとか。

秋元さん
そうなんです。約5年前に商店街の中に3つ設置しました。

山﨑さん
商店街でやったんですか? それは素晴らしい取り組みですね。大地震のような緊急時は消防車の到着を待っていられませんから。基本的に防災に関することは町会や自治会が担っていますが、商店会もアクティブにやっていただけるのは心強いと思いますよ。こういう取り組みをしている商店会は珍しいんじゃない?

秋元さん
そうですね。設置した際に聞いた話では都内の商店街でも数か所にしかなかったそうです。今はもっと増えたかもしれませんが。

設置の経緯など活発な情報交換をされるお二人。スタンドパイプも見せていただきました。

設置の経緯など活発な情報交換をされるお二人。スタンドパイプも見せていただきました。

ササハタハツ新聞
こういった防災に関するイベントを道路でやるというのもよさそうですね。道路を止めないとできない緊急時の体験会とか。

秋元さん
それは面白いですね。この前も消防署の方を招いてスタンドパイプの訓練会を行ったのですが、それを発展させた形でのイベントもできるかもしれない。消火栓を開ける作業だけでもいい経験になりますし。また、スタンドパイプは水道管さえ破裂していなければ水の供給場としても活用できるので、そういったことを広く知ってもらうのにもよさそうです。

山﨑さん
いいですね。初台であれば道幅が広いところもあるので道路の全面停止をしなくても片側を止めて交通整理をするぐらいでもできるかもしれない。

ササハタハツ新聞
こういった新しいアイディアも、これまで「住みやすいまちづくり」に深くかかわってこられたお二人だからこそ広がるお話ですね。
最後になりますが、お二人が今後のササハタハツエリアに期待することを教えてください。

秋元さん
私はエリア内の回遊性が高まったらいいなと思います。例えばおいしいお店や珍しい専門店を知っていると行きたくなるじゃないですか。そういうエリア内を移動する目的になるようなイベントや試みが増えるといいのかなと思います。

ササハタハツ新聞
確かに気に入ったお店があると少しぐらい遠くても行きますよね。一方で回遊性を高めていく中では人のつながりも重要で、今回のお二人の出会いというのも非常に影響が大きいのではないでしょうか。

秋元さん
繰り返しになりますが、こういう関係性を育めたことは本当にありがたいですね。今のところ笹塚エリアでは具体的なイベントの提案まで至っていませんが、こういった関係性を持てたことで今後の可能性も広がるのではないかと期待しています。

山﨑さん
私もそう思います。さらに言えば他のプロジェクトの方たちとも一緒に活動する可能性を探れたら面白そうですよね。例えば「北渋festival(オペラ通りで音楽祭)プロジェクト」では初台のオペラシティ側でパフォーマンスを重視したプロジェクトを展開されていますよね。私も緑道を使ったパフォーマンスに興味があるので、同じ初台で、初台大通りとオペラ通りは甲州街道をまたいでつながっている通りですし今後いろいろな方面で広がっていくといいなと思っています。

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エリアや組織は違うけれど、
長くまちづくりにご尽力されているお二人。
そんなお二人のリレーションシップから
ササハタハツの可能性がどんどん広がり、
さらにいい街になっていきそうです。

 

※1 山﨑さんにご登場いただいた記事。初台まちづくり協議会の紹介もされています。
『「初台を素敵なまちに」初台町会と初台まちづくり協議会が取り組む「シビックプライド」を持てるまちづくり』

※2 秋元さんにご登場いただいた記事
『笹塚のにぎわいと暮らしやすさの守護神!【十号通り商店街理事長 秋元浩さん】に聞く「街と商店街の歴史」』

※3 住民が活用できる消火資器材のこと。消火栓から水を出すことができるので、消防車の到着を待つ間に消火活動を行うことができる。

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