笹塚のにぎわいと暮らしやすさの守護神!【十号通り商店街理事長 秋元浩さん】に聞く「街と商店街の歴史」

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このまちの印象は?と聞かれたら、

「生活しやすい」「便利」と答える人が多いのが

ササハタハツ(笹塚・幡ヶ谷・初台)でしょう。

その理由には、エリア内に10以上も点在している

商店街の充実ぶりが!

笹塚駅を出て、甲州街道を渡った先にある

十号通り商店街も毎日たくさんの人が行き交い、

地域の人々の生活を支えています。

都会らしいにぎわいの中にありながら

「温かみのある」「古き良き」といった雰囲気は

海外旅行客にも人気なのだとか。

今回は、自身も笹塚生まれ、笹塚育ちである

十号通り商店街18代目理事長 秋元浩さんに

笹塚のこれまでとこれからについて

お話を聞かせてもらいました。

 

「TWENTY ONE」完成が街のターニングポイントに

 

ササハタハツ新聞
秋元さんが子どもの頃の十号通り商店街と今の商店街では、どんなところが変わりましたか?

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秋元さん
八百屋、魚屋は今もありますが、昔はそのほかに肉屋、果物店などがありました。ほかにも呉服屋や下駄屋もあって、今とは違った街並みでしたね。

ササハタハツ新聞
「夕飯の支度をしよう」と思って十号通り商店街に来れば、肉も魚も野菜も、ひと通りの食材がそろう感じだったんですね。笹塚駅の周辺はどうでしたか?

秋元さん
笹塚は1978年に駅が高架化され、「笹塚ショッピングモールTWENTY ONE」(以下TWENTY ONE)ができたことでまちの印象が大きく変わりました。特にTWENTY ONEには、アディダスのスニーカーやミズノのグローブを扱う店もあったんですよ。それまではほかの街まで買いに行っていたものも笹塚で買えるようになって、嬉しかったのを覚えています。

ササハタハツ新聞
その変化は大きいですね! 欲しいものが地元で手に入るのは嬉しいですよね。

秋元さん
そうですね。今はなくなってしまいましたが、当時は外にステージがあって、アイドルや有名人がショーをしたり、コンテストなどが行われたりしていました。私も小学校4年生のときに、その頃大ブームだった「ラッセルヨーヨー」のコンテストで優勝したことがあります。

ササハタハツ新聞
ラッセルヨーヨー!『コカ・コーラ』や『スプライト』のロゴが入ったヨーヨーですよね。うちの実家にもありました。私は『スケバン刑事』にあこがれた第二次ブーム世代ですけど、ヨーヨーで優勝ってすごいですね。

秋元さん
その時は指がうっ血するまで練習しました(笑)。今でも優勝したときにもらった賞状は自宅のどこかに保管してあると思います。

ササハタハツ新聞
うっ血!(笑)ヨーヨーの紐で指がしめつけられるんですよね。でも、当時は間違いなくヒーローだったでしょう。その頃の秋元さんはどんな少年だったんですか?

秋元さん
ずっと野球をやっていたので、小学校の頃も代々木大山公園で野球をすることが多かったです。大山公園から笹塚まで帰る途中に駄菓子屋に寄ったりして。そういえば当時は駄菓子屋がまちの至る所にありましたね。今は駄菓子屋と銭湯は少なくなりました。

ササハタハツ新聞
駄菓子屋が子どもたちの集会場みたいでしたよね。確かに駄菓子屋と銭湯はどのまちでも減ってる印象です。

秋元さん
2015年にはフレンテ笹塚も出来ましたし、今後も大型の改修がいくつか予定されているのでまだまだ変わっていくと思います。

 

「温かみ」を保ち続ける努力

 

ササハタハツ新聞
「笹塚」という街が変化していく真っただ中にあって、十号通り商店街はどのような商店街を目指しているのでしょうか?

秋元さん
一番思うのは昔から続く「温かみ」を感じてもらえる雰囲気を保っていきたいということです。商店街としての取り組みは、私の代より前の理事長の時代から脈々と受け継がれているものが多くあります。例えば季節によって変える商店街の装飾や、毎年8月に開催する「ちびっこまつり」など定期的に行う催事がありますが、それらに対して「今の時代に合わない」と難色を示す人もいます。それでも私は、この取り組みがあってこそ来訪者が商店街に変わらない温かみを感じてもらえると思いますし、続けていくだけの価値のあることだと感じています。

商店街中を覆う装飾。夏は涼し気なブルーに、秋になるとおみこしに合うオレンジに変える

商店街中を覆う装飾。夏は涼し気なブルーに、秋になるとおみこしに合うオレンジに変える

ササハタハツ新聞
時代や環境が変わっていく中で、「変わらない」というのは、実はとても難しいことですよね。

秋元さん
変わらない雰囲気を提供するために、様々な意見を聞きながら内容の精査や調整をしつづけています。最近は外国人観光客の方もこの雰囲気を楽しんでくれていますし、なによりも私がこの雰囲気が好きなのでずっと守りたいと思っています。

ササハタハツ新聞
十号通り商店街を歩くときに感じるほっとできる雰囲気は、秋元さんが守ってくれてるんですね! ほかにも商店街として防災や安全にも力を入れていると聞きました。具体的にどんな取り組みをされてるんですか?

秋元さん
防災としては自分たちで消火活動ができるスタンドパイプを設置しています。また高齢の方の安全を守るため、65歳以上が加入できる「思いやり手形」(※1)の発行も。手形に緊急時の連絡先を記入いただくので、いざというときに対応しやすいんです。

秋元さんが経営する「あきもとでんき」の店の前にもスタンドパイプ用の消火栓が

秋元さんが経営する「あきもとでんき」の店の前にもスタンドパイプ用の消火栓が

ササハタハツ新聞
高齢の方を商店街全体で見守ってるってことですね。

秋元さん
はい。その他にも月に一度「ささはたカフェ」(※2)を開催することで小さなお子さんから高齢の方まで地域の方がつながるいこいの場を提供しています。この取り組みを通じて地域包括支援センター等、いざという時の相談窓口とつながりが作れたのはとてもよかったです。ほかにもボランティアセンターの方や社会福祉法人の方ともつながることで、地域一丸となって高齢の方々を見守ることができます。また、私が経営する「あきもとでんき」(※3)でもアフターフォローに力を入れた地域密着のお店を目指しています。

 

商店街を通じて地域の方々につながりを

 

ササハタハツ新聞
最近は大型の家電量販店やネット通販もあります。商店街の電気店さんだからこその工夫をされてるんでしょうか?

秋元さん
そうですね。価格競争ではどうしても勝てない部分があります。ですが、今年の夏のように突然暑くなったときにエアコンが故障しても、家電量販店では修理希望者が続出して対応できないことが。そういうときにうちのお店に駆け込んでくるお客様は確実にいらっしゃいますね。あとは、地元の方と接するなかで「何かあったのかな?」と思うことがあれば、必要に応じて地域包括支援センターに連絡するなど適切な機関とつなげていけるのは、地域密着店ならではの強みだと思います。

「おもしろいポーズを!」という無茶振りなリクエストにも快く答えてくれる秋元さん。「○○ざんまい」ではなく野球に並んで好きな相撲を意識したポーズだそうです。

「おもしろいポーズを!」という無茶振りなリクエストにも快く答えてくれる秋元さん。「○○ざんまい」ではなく野球に並んで好きな相撲を意識したポーズだそうです。

ササハタハツ新聞
ただ商品を販売して終わりじゃないのは、商店街のお店ならではですね。離れて暮らすご家族にとっても心強いはず!

秋元さん
日々行う防災活動や美化推進にも、地域の一員として役に立つことが、回りまわって自分の店の売り上げにつながると思っています。

ササハタハツ新聞
なるほど。防災活動や美化推進で秋元さんを知っている方は「何かあったら『あきもとでんき』に相談しよう」と思いますもんね。
では、これから新しく取り組みたいことはありますか。

秋元さん
最近、商店街のお手伝いをしてくださる地域住民とのかかわりが少しずつ増えてきているので、このつながりがもっと広がるといいと感じています。例えば、8月に開催する「ちびっこまつり」が終わったあとに、撤収のお手伝いをお願いするアナウンスを流すと、子どもと一緒に遊びに来てくれたお父さんたちが手を貸してくれるんです。そのような形で、例えば商店街の飾りつけを交換するときなどに、商店街のメンバーだけでなく、地域住民の方が参加してくださったらとてもありがたいですね。

ササハタハツ新聞
商店街のお手伝いをすることで、今までかかわりがなかった地域の方同士が顔見知りになるきっかけにもなりそうですね。
最後に、今年度も8月30日からササハタハツ(仮称)まちラボフューチャーセッション(※4)が始まりますが、どのようなことを期待されていますか。

秋元さん
セッションに出ている方たちとのつながりが出来てくれば、このエリア全体が盛り上がりそうだなと期待しています。例えば水道道路を使って出店を出すイベントなどが出来たら面白いですよね。そういうにぎわいがササハタハツ地区内の色々なところで起こってくると、人も集まり活性化につながるのではないでしょうか。

 

 

「地域の人が安全で、安心して暮らしてほしい」という秋元さん。

その存在はまちの人々にとって

大きな安心感となっているに違いありません!

そして、秋元さんの地元への思いが、

十号通り商店街の温かみのある雰囲気につながっていると感じました。

商店街のにぎわいをつくり続けている秋元さんや

商店街の方々が参加することで、

セッションが活性化して、

ササハタハツ全体の盛り上がりにつながる!

そんな予感がしました。

 

 

※1「思いやり手形」65歳以上ならだれでも加入できるサービスで、入会料・会費は無料。緊急時の対応や傘の貸し出し、各店のサービスなどが受けられる。http://www.sasahata.com/town/omoiyari/index.html

※2「ささはたカフェ」十号通り商店街など笹塚・幡ヶ谷地区のさまざまな団体が協力して月に1度開催している地域のいこいの場所。お茶を飲みながら、保育園児の歌の発表を聴いたり、生活に役立つ講座を受講したりできる。
http://www.sasahata.com/blog/sasahatacafe/

※3「あきもとでんき」アフターフォローの充実など家電の販売にとどまらない、秋元さんが経営されるお店http://www.sasahata.com/shop/e058/

※4ササハタハツのまちづくりを長期的な視点でまちの活性化とコミュニティ形成につなげ、新たなサービスや事業の創造を目指すための検討会https://www.city.shibuya.tokyo.jp/kankyo/machi/sasahata/index.html

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